こんにちは。小野ひかりです。
先日、アラフォー友達と40代からの人生観について語り合ったのですが、彼女がこんなことを言っていました。
「30代は子供の成長を最優先に考えて、自分が好きだと思えない仕事でも割り切って働いてきた。子供が社会人になるまで支えていくつもりだけれど、40代からは、自分自身のこれからの仕事、人生についてもやりがいのあるものに変えていきたいと思っている。
でも、実のところ本当に「なりたい自分」というのが分からなくて、心がモヤモヤしている」
私も長い間、なりたい自分像が鮮明にならずに悩んでいたので、彼女の気持ちにとても共感しました。
今回から数回にわたって「なりたい自分」の見つけ方について、仏教の視点で見ていきたいと思います。
なりたい自分が サッパリわからない
「自分とは何者か」
「なりたい自分とは」
これは多くの人の心をかきたてる問いではないでしょうか。
古代から現代に至るまで、洋の東西を問わず、「自分とは何者か」の探求が続けられています。
汝自身を知れ
(古代ギリシャ 哲学者/ソクラテス)世界で最大のことは、自己を知ることである
(フランス哲学者/モンテーニュ)世界中のことを知るよりも、自分自身を知ることのほうがはるかに難しい (ドイツ文豪/ゲーテ)
人は自分自身については暗闇の中にいるのも同然です。
(スイス精神科医・心理学者/ユング)病気も戦争も、人間の技術で改善できるようになった。
しかし2016年、依然として解決の糸口が見えないのは心と意識の謎だ。 (『ホモデウス』)
21世紀はAIがあらゆる分野に革命をもたらしそうですが、ではAIなら「自分とは何か」の答えを出すことができるでしょうか。
最近は自分を数値化できるAIスコアが登場しています。
AIが個人の学歴や性格、金銭感覚、ライフスタイルなど、ネット上の行動傾向から大量のデータ分析して、その人の信頼度を数値化するのです。
AIは人間のような偏見や感情が入りませんので、今までよりずっと分析の精度が高く、今後は企業の人材採用も優良顧客の分析も、「AIスコア」で判断するのが一般化する時代が訪れようとしています。
ところがそんなAIでも分析できないのが「私たちの心」です。
AIスコアの分析結果により「あなたにお勧めの職業は金融業界」「あなたに最良な結婚相手はこの人です」「あなたにはこの保険が最適です」というようなアドバイスをAIから受けるかもしれません。
でもその時、あなたの心は「はい」と従いたくない場合、たとえば「イラストレーターの仕事がしたい」「BさんよりもAさんが好き」ということも有り得ますが、その場合、自分の思いを通すのが自分に合う生き方なのでしょうか。
それともAIに順うのが自分らしい生き方なのでしょうか。
AI革命により、人間の生活は驚く速さで豊かになってはいますが、以前として解決の糸口が見えないのが「自分とは何か」という問いです。
仏教を知ること=なりたい自分が見つかる
この「自分とは何か」の問いに答えを示しているのが仏教です。
「夜もすがら 仏の道を求むれば わがこころにぞ たずね入りぬる」
平安時代の源信僧都(げんしんそうず)のお歌です。
「よもすがら」とは「夜どおし」の意味。
13歳にして出家し、比叡山天台宗の僧となられた源信僧都は、ひたすらに仏の道を求められました。
すると見えてきたものは、不可解な「わが心」、自己の本心であった、と言われています。
仏教を学ぶとは、自分の真実の心を知ることなのです。
お釈迦様が御在世の時、一人の弟子がお釈迦様に尋ねられました。
「世尊、45年間お説きくだされた、この教えを一言で表したら、なんとお呼びしたらよろしいでしょうか」
お釈迦様45年の教えを一言で表してくださいという問いに、お釈迦様は
「汝らに法鏡を授けるであろう」
(仏教は法鏡なり)
(お前達の本当の姿を映す鏡だぞ)
と仰っています。
仏教を聞くということは、ありのままの自己を映す鏡を見るということだと釈迦は説かれたのです。
ありのままの自己を映す鏡については次の記事に続けます。
→仏教は法鏡なり。なぜブッダは「己を見つめよ」と説かれるのか
まとめ
- 近すぎて、サッパリ分からないのが私。
- 古代から現代に至るまで「自分とは何か」「なりたい自分」を渇望している。
- 仏教を聞く目的は、ありのままの自己を知ること。
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