こんにちは。仏教大好きな小野ひかりです。
私が大学を卒業して就職して3年経ったある休日の朝のことです。
80歳の祖母が「今日は何曜日だっけ?病院行く日?」と聞くので、「今日は土曜日だから病院行く日じゃないよ」と答えて、テレビをつけてコーヒーを入れていると、また祖母が「今日は何曜日だっけ?病院行く日?」と聞くのです。
えっと驚いて祖母の顔を見ると、とても冗談で言っているようではない、これが「もしかしたら認知症かも」と疑い始めた最初の出来事です。
それから祖母の認知症の症状は徐々に悪化し、同じことを何度も話したり、聞いたりするのはいつものこととなりました。
さらに悪化すると、昼夜の時間感覚がなくなり、真夜中に「出かける」と言ってきかないことも多々ありました。
庭の柿の木の前を子供が通るたびに「柿を持ってくなー」と泥棒呼ばわりするようになり、近所から苦情もあがりました。
祖母の言動はじわじわと私たち家族のストレスとなりました。
夜中に力づくで出かけようとするのを止めている時に、「いい加減にして」と怒鳴りそうになったこともあります。
口にこそしませんが「おばあちゃんの面倒を見るの、疲れたな…」と毎日イライラしてしまいます。
しかも認知症の介護には、休日も祝日も退社時間もなく、終わりがありません。
日中仕事で朝と夜だけの世話をしている私ですら爆発しそうだったのですから、母親のストレスは相当だったと思います。
自分の力だけでは生活できない祖母を家族が支えなければと皆思っていたのですが、いつしか介護疲れから家族中がぎすぎすしていくのを感じました。
認知症の家族の心に寄り添うことが大切
先日、看護士の知人から認知症の人の心を教えてもらう機会があったのですが、
その内容が私の胸に刺さりました。
全然祖母の心を理解できていなかったと反省させられました。
もしあの時にこのことを知っていれば、祖母への接し方をもう少し変えられたのではと思うことばかりでした。
こんな内容でした。
自信を失っていく
認知症になると、行動面の失敗が増え、自信を失っていく。
同じ物を何度も買ったり、約束したこと自体を忘れてしまう、といった失敗を繰り返すようになる。
そんな初期段階では周囲の人はなかなか認知症とは気づかず、注意されたり、責められることも少なくない。
失敗が重なると、周りから冷たく見られ、仕事や生活についての自信を失っていく。
行動が制限され、ストレスを抱える
さらに認知症が進行するとできないことが増えてきて、行動が制限され、ストレスを抱える。
具体的には、危ないからと料理をさせてもらえない、孫の子守りを任せてもらえない、家族から1人で出かけることを止められる…など。
そうなると、自分はいないほうがいいのではと落ち込んだり、ストレスが溜(た)まっていく。
精一杯生きている
認知症の人は自分の症状に戸惑いながらも、精一杯生きようとしている。
同じことを繰り返し聞くのは、それだけ気になっているから。
「明日、病院だよね」と何度も聞くのは、ちゃんと病院に行かなければという、対処しようという気持ちの現れです。
それを「さっきも言ったでしょ」とうるさがると、「なんでそんな言い方するの」と思い、「この人はすぐ怒るから私のことが嫌いなんだ」と心を閉ざしてしまう。
排泄の失敗
排泄の失敗は本人にとっては大ショックだ。
いくら家族の前だったとしても恥ずかしく、悔しく、自分を許せない気持ちになっているので、こちらが嫌な顔をしたら更に落ち込む。
認知症の影響で仕方のないことなので、せめて家族だけは「大丈夫よ」というような対応をしてあげることが大切。
思い当たることがありすぎて、涙が止まらなくなってしまいました。
認知症の家族の悩みを知ってわかったこと
認知症介護の家族のストレスばかり自分は問題にしていましたが、認知症の当人である祖母の方がずっと不安やストレスにさらされていたのだと知らされました。
認知機能の低下に戸惑いながら何とか生きようと祖母が努力していることを分かってあげられていたら、もっと優しくできたのではと思うと、心が辛く、悔やんでも悔やみきれない気持ちになりました。
今もこのブログを読んでおられる方の中に、認知症の心配をされている方、また現に介護されている方もおられると思いまして、そういう方が少しでも心のストレスが軽くなればと思い、聞かせてもらったことを紹介しました。
まとめ
日本の社会は今後ますます高齢化が進み、2025年には65歳以上の人のうち、5人に1人が認知症を患(わずら)うという予測もされています。
そんな時代に臨むにあたって、認知症の人がどんな心を抱えるのかを知っておくのは大事なことです。
いざ大切な家族が認知症を患った時に、寄り添って認知症の介護をする一助になると思います。